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第485号 1998(H10).06-07発行

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施設ホウレンソウの合理的施肥方法
テープ封入肥料を用いたホウレンソウの効率的施肥法

富山県農業技術センタ一 野菜花き試験場
野菜課長 松本 美枝子

1.はじめに

 ホウレンソウの窒素吸収量は,収量を2t/10aとした場合,10kg/10a前後である。

 窒素施肥法は,速効性肥料を用い,全量を基肥として全層に施肥する方法が一般的である。また,施用量は産地によって異なるが,作付け回数6~8回/年であることから,年間施用量は極めて多いと言える。さらに,土壌の物理性を改善することを目的に多量に施用されている有機物からも窒素が供給される。そのため,施設土壌のECは1mS/cm以上と高い場合が多く,濃度障害が懸念された。

 そこで,ホウレンソウにおける,窒素の効率的供給方法について平成8年から品種”アクティブ”を用いて検討した。その結果,シードテープ(加工 日本プラントシーダーK.K.)の種子と種子の間に被覆尿素(LP30)を封入し,土壌中に埋設することによって,窒素施用量が著しく削減され,土壌のECが低下することが明らかとなったので報告する。

2.ホウレンソウの効率的窒素施肥法

 本県では,地力窒素供給量の違いにより窒素施用量は異なるが,無窒素区との差し引き方により算出した施肥由来窒素吸収量は0.5~1.8g/㎡と少なく,施肥窒素利用率は15%と極めて低かった(表1)。このことは,施肥窒素の85%程度が利用されていないことを示している。

 窒素を効率よく施用するには,ホウレンソウが要求する時期に必要な量を供給すればよい。そこで,ホウレンソウを窒素供給量の異なる土壌で生育させ,窒素吸収特性を調査した。ホウレンソウは,ほぼ30日間(積算温度750℃)で収穫可能になり(収量は2kg/㎡程度),窒素吸収量は10~11g/㎡程度であった(無処理区では生育が停止し収穫に至らなかった)。

 時期別窒素吸収量は,生育前半で少なく,窒素供給量の違いによる差異は認められなかったが,生育後半で増加し,窒素供給量の違いによる差異が明らかとなった(図1)。したがって,施肥効率の高い窒素肥料として,収穫時でほぼ肥効がなくなること,前半の肥効が小さく,後半での肥効が大きいことが必要と考えられた。

 そこで,上記の条件にあった窒素源を検索するため,数種の窒素肥料の埋め込み調査を行った。その結果,十分とは言えないが,現状では被覆尿素(LP30)の条件達成度が最も高いと判断した(図2)。

 そこで,全層施用法により,速効性窒素肥料(尿素)とLP30がホウレンソウの収量及び施肥窒素利用率に及ぼす影響を検討した。その結果,LP30区で明らかに収量が増加し,施肥窒素利用率も尿素で11%であったのに対し,LP30では29%と高かった(窒素12g/㎡施用,表2)。ここのとは,ホウレンソウの窒素吸収パターンに肥効パターンを合わせることによって施用量の削減が図られることを示している。しかし,利用率が29%ということは,2.9g/㎡の窒素をホウレンソウに吸収させるのに10g/㎡の窒素を施用する必要があることであり,さらに改善の余地があると考えられた。

 そこで,全層施肥ではなく,根が吸収しやすい位置に肥料を施用する「局所施肥」によって施肥窒素利用率の向上を図ろうとした。ホウレンソウでは,水溶性テープに種子を封入したシードテープを用いた播種方法が浸透している。これは,水溶性テープに5~7cm間隔で種子を封入し,そのテープをシーダーマシンによって土壌中に埋設して行くものである。そこで,この水溶性テープにLP30を封入し,シーダーマシンによって,種子テープと同位置に同時に埋設する方法を当場圃場で検討した。

 その結果,全属施肥では12g/㎡程度の施用が必要であったのに対し,テープ封入肥料を用いた局所施肥では春及び秋作で4.5g/㎡を,夏作では2.7g/㎡を施用した区の生育が最も良好であった(表3)。この場合のホウレンソウの施肥由来窒素吸収量は2.3~3.0gで,施肥窒素利用率は69~104%と著しく向上した。このことから,ホウレンソウでは,LP30を局所施肥することによって窒素施肥量の大幅な削減が可能であると考えられた。なお,LP30の窒素利用率は,生育期間中の溶出量(74~84%)について示した。

 また表4,5にテープ封入肥料(LP30)の施用量設定方法を示した。

3.局所施肥による発芽率確保

 しかし,上記の局所施肥を行った場合,施肥量の増加にともない発芽率が低下した(表3)。その原因が,病害発生によるものか,濃度障害によるものかを明らかにするため,硝酸態窒素濃度と発芽の関係を検討した。発芽率の低下は,実際栽培では,発芽揃い期(播種後5日目)で明らかになる。

 そこで,25℃(ホウレンソウ夏作の平均地温)で5日間インキュベーションした後の発芽率及び根長を濃度障害発生の判断基準とした。その結果,濃度が高くなるにしたがい発芽率が低下し,根長も短くなり,500ppmでも発芽率の低下は認められないものの根の伸長は明らかに抑制され(図3),初期生育に影響すると考えられた。

 種子封入テープと肥料封入テープを同位置に埋設する場合,1粒の種子と1粒のLP30が接触する可能性が高いので,「LP30」1粒毎の溶出量を25℃下で調査した。その結果,各粒の溶出は一定ではなく,処理後5日目で49粒中1mg以上の窒素溶出が認められたのは6粒であり,内2粒は2mg以上溶出した。この溶出量は,1mlの土壌水分に溶解した場合,それぞれ1,000及び2,000ppmとなる(図4)。

image

 ただし,この試験は,LP30を水中でインキュベーションしたもので,溶出した尿素態窒素の濃度障害は硝酸態窒素ほど顕著ではない(データ省略)。そこで,LP30から溶出した尿素態窒素が土壌中でどのような形態に変化し,どの程度拡散しているかを調査した。方法は,30×25×9cm のコンテナに,施設土壌を5l入れ,深さ2cmの溝にLP30を配列した。さらに,肥料溝の直上と2cm及び5cm離れた位置に長さ10cm,直径3mmのポーラスカップを埋設し,十分量潅水した後25℃で5日間インキュベー卜した。処理後に採血管で10ml/10cmの土壌溶液を採取し,尿素態及び硝酸態窒素濃度を測定した。

 その結果,LP30の直上からは高い濃度の硝酸態窒素(800~1500ppm)が検出され,施用量が多い方が濃度は高かった。しかし,肥料から2cm離れるとその濃度は1/3程度となり,さらに,5cm離れると肥料の影響がほとんど認められなかった(図5)。なお,全ての土壌溶液で尿素態窒素は検出されなかった。

 以上のことから,LP30から溶出した尿素態窒素は土壌中で速やかに硝酸態窒素に変化し,ほとんど拡散せずに,肥料周辺に分布していると推察された。したがって,種子とLP30が接触していた場合,硝酸態窒素による濃度障害(発芽率の低下及び根の伸長阻害)を受ける可能性は極めて高いと考えられた。

 しかし,種子とLP30を2cm程度離して土壌中に埋設することによって濃度障害が軽減できた。すなわち,種子テープと肥料テープ2本を同位置に埋設した場合の発芽率が,3粒/5cm区で80%,5粒/5cmで70%程度であったのに対し,2本のテープを2cm離して埋設することにより発芽率は90%程度と無窒素とほぼ同程度に回復した。また,3粒/5cmの場合,種子と種子の間に肥料を封入することによっても発芽率は確保できた(表6)。

4.現地におけるテープ封入肥料の利用

 本県の施設ホウレンソウ産地のa・b2つの施設で,テープ封入肥料の実用性を検討した。各施設の土壌化学性については表7に示したとおり各種肥料成分が過剰に蓄積しており,土壌由来の窒素供給量も多かった。

 aでの窒素施肥量は慣行が3.6g/㎡であったのに対し,テープ封入肥料では0.9g/㎡で,bでは慣行が12g/㎡であったのに対しテープ封入肥料では2.7g/㎡で生育が最も良好であり,全ての作型で収量及び窒素吸収量は増加した。また,土壌のECも低下し(表8),収穫時において養分の欠乏及び形態の異常は認められなかった。

 以上の結果から,本窒素施肥法は,施設ホウレンソウ産地においても十分に実用性があり,施肥窒素利用率が向上することから,土壌中に残存する量も少ないことが確かめられた。また,土壌中に過剰に蓄積しているリン酸やカリを施用しないですむこともメリットと言えた。

5.まとめ

 以上の試験から,ホウレンソウの窒素施用量は,窒素吸収パターンに近い溶出を示す肥料を水溶性テープに封入し,種子と同時に土壌に埋設する(局所施肥)ことによって著しい削減が可能であることが明らかになった。

 現状でホウレンソウの窒素吸収パターンに最も近い溶出を示す肥料は,被覆尿素の30日夕イプ(LP30)で,慣行窒素施用量のほぼ1/3程度まで減らすことができると考えられた。しかし,LP30は,収穫時期までに完全に溶出しないこと(15~25%が未溶出),施肥直後から窒素が溶出するため生育前半の供給窒素が無駄であるだけでなく,硝酸態窒素濃度の上昇による発芽障害を受けやすい欠点を持っていた(濃度障害は,種子と肥料を2cm程度離すことで回避できる)。

 今後,窒素の溶出が,生育前半(積算温度300℃)で完全に抑制され,後半で溶出し,収穫時(積算温度750℃)でほぼ完了する肥料(20~25日程度のシグモイドタイプの肥料)ができれば,ホウレンソウをはじめとする軟弱野菜での施肥窒素利用率がさらに向上し,発芽時の濃度障害が回避され,土壌中に残存する窒素分も少なくなることから生産は極めて安定すると考えられた。

 なお,本試験は地域重要新技術開発事業の一部として行ったものであり,各種肥料提供についてはチッソ旭の,テープ封入肥料の作成に当たっては日本プラントシーダーK.K.の協力を得た。

 

 

肥効調節型肥料を使った乳苗栽培

JA宮城経済連 米穀部 生産対策課
白石 康裕

 本県の稲作は,「ひとめぼれ」,「ササニシキ」の二つの中生種の作付けで95%以上を占めており(平成9年産),このため,育苗・田植え・刈取りの各作業が一時期に集中しやすく,また兼業農家は休日・祝日以外は作業時間をとりづらく,特に育苗管理は大きな負担となっている。

 この問題を解決するひとつの方法として,平成7年度より河南町の佐藤栄一氏の圃場において県の指導を受けながら乳苗移植栽培に取り組むことにした。また,施肥は過繁茂防止と省力化のため肥効調節型肥料の全量基肥施用とした。

1.展示圃設置概要

・担当農家 河南町鹿又 佐藤栄一氏
・担当農協 JA鹿又
・普及指導協力 石巻地域農業改良普及センター
・区の設定
 ①試験区(乳苗)「ササニシキ」,「ひとめぼれ」,「こころまち」(9年のみ「おきにいり」)各40a
 ②対照区(中苗)「ササニシキ」20a

2.作業の実際

 面積・品種の選定は育苗器の容量を考慮して1区を40aとし,品種は「こころまち」,「ひとめぼれ」,「ササニシキ」の3品種3区,慣行区として「ササニシキ」の中苗を1区20aを設定した。(目標育苗箱数「ひとめぼれ」,「ササニシキ」は約15枚/10a,「こころまち」は17枚/10a)

(1)種子予措

 基本的に慣行と同じとしたが,厚播きをするので発芽ムラを防ぐためにできるだけ低温で十分に浸種させた。

(2)播種

・根がらみ強度確保のためロックウールマット(無肥料)を使用。
・播種量は催芽籾で240g/箱とした。
・潅水量は2.0l/箱と多めにして,以降田植えまで追加潅水は行わない。
・覆土は肥料入り粒状培土を使用(1.1ⅼ/箱程度,粉状は根上がりを起こしやすく不適当)。

(3)育苗

・播種後,短い期間で苗丈を伸ばし揃えるため一貫して育苗器内で育苗を行った。
・育苗箱は上下に積み重ね,根上がりを防ぐ(10段を上限として最上段には重しを乗せる)。
・育苗器の棚間隔は7cm程度なので,出芽長が1cmに達したら1段おきに棚差しを行った。
・加温中は保温カバー(遮光性)で密閉する。
・育苗は,
 ①積み重ね出芽
   30℃で60時間(約2.5日)
 ②棚差し伸葉
   26℃で96時間(約4.0日)
 ③硬化
   常温で48時間(約2.0日)
 と緑化を省き,硬化のみを行う。(積算温度200℃程度)

(4)田植え

・耕起,代かきは慣行に準じて行う。
・田植え機は手持ちのを使用するが,植え付け爪は,ブロック爪(平爪)とし植え付け精度を上げる。
・植付本数/株,栽植密度,等は稚苗に準じて行う。(5~6本/1株,18株/㎡)
・植え付けの深さは3cmとやや深めとし,浮き苗・転び苗を防ぐ。

(5)施肥

・展示圃では,省力化のために溶出日数の異なる緩効性肥料を2種類,それにPK化成を混合した試作肥料(LP30,LP40,苗箱まかせNK301-100,PK40)を全量基肥施用(側条施肥)した。

①試作1

 LP30:7%(12kg),苗箱まかせNK301-100日:20%(33kg),KP40:73%(120kg)
 ササニシキ 41.3kg/10a(混合後成分量N-3.7,P-7.2,K-6.8kg/10a)

②試作2

 LP30:8%(14.5kg),苗箱まかせNK301-100日:24%(42kg),PK40:68%(120kg)
 ひとめぼれ 44.1kg/10a(混合後成分量N-4.6,P-7.2,K-7.1kg/10a)

③試作3

 LP40:9%(13kg),苗箱まかせNK301-100日:30%(44kg),PK40:61%(90 kg)
 おきにいり 36.8kg/10a(混合後成分量N-4.6,P-5.4,K-5.6kg/10a)

 試験区では溶出期間の短いLP30,LP40の量を増減して目標茎数を確保することとし,籾数が多く下位節間の伸長し易いササニシキはLP30を,また一穂籾数が少なく倒伏性は比較的強いひとめぼれ,おきにいりについてはLP40を組合わせラグ期の窒素を高めに維持させるよう工夫した。苗箱まかせNK301-100(シグモイド型溶出)は地力窒素を補完し,有効茎歩合を高め一穂籾数を増やすなど収量決定要素を高めるねらいを持たせた。

(6)水管理,その他

・活着までは落水管理を基本とするが,低温時には深水管理を行った。
・活着後の水管理は慣行に準じるが,登熟期が遅れるので落水は慣行より遅くした。
・除草剤は活着後に初中期一発剤を使用した。
・病害虫防除は慣行に準じて行った。

3.結果の要約

①乳苗は育苗期間が10日間に短縮され(稚苗の約1/3) ,育苗管理も潅水が不要となるなどの省力化が図られた。

②乳苗の植付の箱数は10a当り15箱と削減され(稚苗の約2/3),運搬の労力が削減された。

③乳苗の本田生育は対照区に比べはじめやや遅れていたが,幼穂形成期には追いつき出穂期,成熟期で4~5日の遅れとなったが収量・玄米品質とも対照区に劣らず,特に生育後期が好天の年はその特徴が現れた。

④基肥はLPとPK化成を配合し,LPはLPNKS-100(シグモイド型溶出)とLP-30,40日(リニア型溶出)を約7:3で混合して初期生育時の窒素成分の溶出を少なめとし,施肥効率を高めるため側条施肥田植機を使用した。その結果,3要素成分は10.4-16.3-13.6%程度,配合割合はLP:8%,LPNKS-100:24%,PK40:68%とした試作2の肥料が最も適すると判断された。

乳苗移植栽培実証展示圃生育調査結果

4.普及性の有無

 乳苗移植は,必ずしも飛躍的な省力化を達成する技術とはいえないが,現在の稚苗移植栽培の延長線上にあり技術的な安定性も高く,また肥効調節型肥料の全量基肥施用は施肥作業を省力化できいずれも低コスト化を可能にする技術である。さらに,直播栽培ほど新たな機械を購入したり,特別に難しい技術を習得する必要がないために,規模の大小を問わず広く稲作経営に適応できると考えられる。

 特に移植適期及び刈取り適期幅の狭い本県で規模拡大を図るには効果的な技術であると考えられる。本試験では年次間の収量変動はあるが,いずれの年も乳苗の3品種とも慣行栽培に劣らない収量・玄米品質を示した。

 問題点は,本県では気温が低く,播種後から苗の完成まで育苗器の中で一貫して育苗した方が良いので大容量の育苗器(スチーム式)が必要。また,出穂期・成熟期が稚苗より遅れるため,気温の低い圃場・標高の高い圃場では生育量が不足する恐れがある。

 留意点は,過繁茂防止のため速効性窒素を含まない肥効調節型肥料を配合したので,側条施肥を原則とし,年次による乾土効果の発現予測,土壌条件や圃場透水性,水温等の自然条件を考慮して施肥量を決定する。

乳苗展示圃への取組みと感想

JA鹿又 営農販売課長
池田 憲一

 展示圃に取り組む前から米価の低迷が予想されており,低コスト,省力でしかもおいしい米づくりを探求していた時であり,乳苗移植については,育苗期間の短縮,田植えの省力,収穫期幅の拡大が出来ること等を期待していました。

 乳苗は県北の圃場を視察した際,田植え後にもかかわらずほとんど田植えの状態が確認できませんでしたが,1ヶ月後再度見に行ったところ田植えのやり直しをしたのかと思うほどになっており,これは大丈夫と確信しました。

 課題としては,
①過剰分げつによる整粒歩合の低下,倒伏の可能性の増加
②欠株の増加
③出穂期の遅れによる千粒重の低下
④田植直後の水管理
⑤育苗器の取得  等でした。

 過剰分げつについては,シグモイド型溶出の肥料の使用で初期生育を抑えられたこと,植付本数を4~5本にしたことも効果があったと思われます。ただ,欠株率から見ると植付本数をもう1~2本増やし,田植え後すぐ水をかけ保温した方が良いと思います。その場合,ロックウールマットだと水に浮きやすいので水をかけても浮かないものを使用します。

 品種による課題として,「ひとめぼれ」については,初期の肥効と植付本数を多くする必要があると考えています。

 出穂期の遅れについては,収穫期が拡大でき作業面積が多い場合有効な反面,後半の天候の影響を最小限にする方法を検討する必要があります。

 この3年間の試験で,地域の平均反収以上の収穫ができ,技術的にはほぼ確立されましたが,平成8年度のような田植え直後の低温にどう対応するのか等が課題と思われました。

乳苗栽培展示圃3年間の感想

佐藤 栄一

1.平成7年

 田植え後の天候も良く順調な生育をし,田植え後10日目で除草剤を使用しても苗には影響がなく雑草も良く抑えられた。

 「こころまち」,「ひとめぼれ」は過繁茂になりにくかったが,「ササニシキ」は過繁茂気味であった。

 目標収量には届かなかったが,総じて平成7年度は良い成績であったと思う。

2.平成8年

 田植えをしてからの低温続きで苗が緑色にならない。5月25日に前年より5日遅れて除草剤を散布したが,このままではどうなるか多少心配になった。6月中旬以降は生育が回復したが,分けつはやや少ない感じがした。7月に入り,生育はだいぶ回復し,茎数も増加した。

 最終的には,初期の低温が響いて成績は思わしくなかったが,一時は植え直しも検討したので,乳苗の耐冷性を確認できた。

平成8年度 良質宮城米実証展示圃場乳苗移植時の状況
平成8年5月10日 JA鹿又現地圃場

 イエロー乳苗
  育苗期間:10日
  播種量:240g/箱
  出芽:加温,遮光
     28~29℃ 3日
     25~27℃ 4日
     無加温   2日

 移植時の苗の姿
  苗丈は9~11cm 葉齢は1~1.5葉

 乳苗の移植
  10a当たり箱数は約15箱

平成8年度 良質宮城米実証展示圃乳苗区生育状況
平成8年6月26日 JA鹿又現地圃場

 (「こころまち」,5/11田植)
  6/20調査時 草丈:24.7cm 葉齢:6.3

 (「ひとめぼれ」,5/11田植)
  6/20調査時 草丈:22.5cm 葉齢:欠測

 (「ササニシキ」,5/11田植)
  6/20調査時 草丈:30.4cm 葉齢:8.1

平成8年10月2日 JA鹿又現地圃場

3.平成9年

 田植時期は天候が良かったが,その後気温が低い状態が続き昨年と同じになるかと思った。その後天候も回復し,生育も良くなった。茎数が多少不足気味であるが,乳苗栽培は3年目なので心配はまったくせず,気長に生育を観察していった。

 3年間,施肥は田植時一回だけで,水管理等をするのみだった。