農業と科学 平成22年3-4月
本号の内容
§ポインセチアの養分吸収量と肥効調節型肥料を用いた省力施肥管理技術
栃木県農業試験場 園芸技術部 花き研究室
技師 坂本 あすか
§チャ中切り更新園における被覆肥料の樹冠上施肥による肥料利用率の向上
ジェイカムアグリ(株) 富士営業所
技術嘱託 岩橋 光育
栃木県農業試験場 園芸技術部 花き研究室
技師 坂本 あすか
近年,鉢花の購買曙好は,ホームセンターなどで気軽に購入できるホームユースが中心となっている。そのため生産現場では贈答用大鉢が減少し,家庭で楽しむことを目的とした小鉢の生産が増加する傾向にある。生産者には,消費者が好む魅力的な鉢花を低価格,かつ長期間観賞できる品質で提供することが求められ,低コスト規格品生産に向けた肥培管理技術の確立が必要となっている。
ここでは,冬の鉢花として人気が高いポインセチアについて,養分吸収量を解明し,それに基づいた肥効調節型肥料を用いた底面給水栽培による省力施肥管理技術を確立したので紹介する。
ポインセチア’プレステージ’の養分吸収量を明らかにし,それに基づいた5号サイズの規格品生産における適正な肥効調節型肥料のタイプと施用量について検討した。
2004年8月2日に,発根苗を5号サイズのプラスチック鉢に定植し,活着後の8月10日からひも底面給水を開始した(図1,写真1,写真2)。



液肥の施用濃度が,無施用(対照),N-P2O5-K2Oの成分で,100-50-100(ppm),200-100-200(ppm)となる3区を設定し,1ヶ月ごとに植物体に含まれる無機成分含有量を調査した。
用土は赤玉土,籾殻堆肥,腐葉土,ピートモスを4:2:2:2(体積比)で配合し,それに重焼りん,ようりんを培土ℓ当たりそれぞれ4g,2g添加した。
2005年8月4日に,発根苗を5号サイズのプラスチック鉢に定植し,前記の養分吸収量の試験結果に基づいて,定植と同時にシグモイド型の肥効調節型肥料※(成分でN:14%,P2O5:12%,K2O:14%)を施用した。処理区として1区:スーパーエコロング424-100を10g施用,2区:スーパーエコロング424-100を5g+9月5日スーパーエコロング424-70を5g追肥,また対照として3区:N-P2O5-K2Oの成分が100-50-100(ppm)の液肥を常時供給する3つの区を設け,生育及び品質の調査を行った。いずれもひも底面給水とし,1区と2区は水を常時供給した。なお,肥料の施用位置は100日タイプは鉢底から3~4cmの位置,追肥の70日タイプは培地表面とした(図1)。用土の配合は前記と同様で,過燐酸石灰,重焼りん,ようりんを培土ℓ当たりそれぞれ2g,3g,3g添加した。
※シグモイド型…初期の溶出を抑えた肥効調節型肥料
出荷適期の生育は,草丈,分枝数では液肥施用濃度がN-P2O5-K2Oの成分で100-50-100(ppm)区が優れた。一方,葉数,株径,苞数,苞冠径では200-100-200(ppm)区が優れたが,濃度障害と考えられる苞縁の枯れ込みや株バランスの崩れが見られた。このため,商品性から判断して100-50-100(ppm)区が最も良いと判断した(表1,写真3)。


このときの株当たりの無機成分吸収量は,N:1,320mg,P2O5:410mg,K2O:1,570mgで,無施肥区のそれらを差し引くと,5号サイズの栽培における必要施肥量は,N:1,240mg,P2O5:345mg,K2O:1,420mg程度であることが明らかとなった(図2)。

肥効調節型肥料施用区と液肥区の出荷適期の草丈,株径及び苞数とも同程度であり,有意差は認められなかった(表2,写真4)。


しかし,2区のスーパーエコロング424-100を5g+スーパーエコロング424-70を5g追肥では,苞葉の色づきが劣る傾向が見られ,生育初期の養分不足が原因と考えられた。
以上の結果から,ポインセチアでは,発根苗を8月上旬に5号鉢へ定植する時点でスーパーエコロング424-100を鉢当たり10g施用することで,5号鉢の規格品として十分な品質が得られ,また,施肥作業は1種類の肥料を1回施用で済むことから省力栽培にもつながることが明らかになった。
栃木農試では,ポインセチアでの成果をもとに,シクラメン,ガーベラでも肥効調節型肥料を用いた施肥管理のマニュアル化を行っており,実用技術として生産現場でも導入されている。
ジェイカムアグリ(株) 富士営業所
技術嘱託 岩橋 光育
静岡県では茶園からの施肥窒素の溶脱による周辺水系の汚染防止を目的に,2002年3月施肥基準の年間窒素施用量の上限を54kg/10aに改定し,さらに2005年3月の改定では2010年までに40kg/10aを達成することを目標に現在検討が続けられている。
茶樹の施肥は面積の1/5~1/6に相当するうね間に施用されており,このことが吸収根域の局所限定,根の濃度障害,肥料成分の溶脱などで肥料の利用効率の向上を抑制している。一方,うね間に比べ樹冠下は,根群域が広く1),吸収根の活性が高い2)ため窒素の利用率が高く3),また雨水量も多い4,5)などにより,肥料利用率の向上が期待できる。
樹冠下への施肥管理については,寿江島ら6),志村7)による樹冠下への緩効性肥料の施用,また木下ら8)による樹冠下への点滴施肥など利用率向上のための技術開発の報告がなされている。
前報9)において,’Vポーラス’の樹冠上施用がうね間施用よりも一番茶新芽の生育が良好で,旨味成分濃度においても高くなる傾向が認められることを報告した。一方,茶園管理では樹高調節と樹勢回復を目的に,3~4年に1回地上30~50cmでせん枝する中切り更新がなされる。
そこで,チャ中切り更新園の樹冠上からの被覆肥料の施用試験,樹冠上からの施用とうね間への施用の組み合わせ試験を実施し,窒素の利用率向上と施肥量削減を検討したので報告する。
慣行の管理が行われている静岡市水見色の農家ほ場で実施した。単条20年生の’やぶきた’成木園であり,土壌は褐色森林土(黄褐色)掛川3統で土性はCLである。一番茶摘採後の中切り更新処理は2006年5月15日に行った。
試験区の構成は表1に示したとおりであり,樹冠上に施用する樹冠上施肥区,うね間に施用するうね間施肥区の2区を設けた。
試験区の規模は1区54㎡,2反復で,2006~2009年の4年間実施した。

樹冠上施肥した被覆肥料は,4年後の再更新時までの長期間の溶出を期待して,ハイコントロール650-360(窒素・りん酸・カリ:16(アンモニア態窒素7.0,硝酸態窒素9.0)-5-10,以下,ロングとする)を用いた。
ロングは中切り更新後の5月20日に窒素として28kg/10a施用した。樹冠下に落下した肥料は土と混和せず,うね間の肥料のみ混和した。
なお,ロング施肥後の施肥管理(春肥Ⅰ・Ⅱ,芽出し肥,夏肥Ⅰ・Ⅱ,秋肥Ⅰ・Ⅱ)は,うね間に慣行量(窒素54,りん酸19,カリ37kg/10a)を施用し,ロングを含めた窒素の年平均施用量は61kgN/10aとした。
中切り更新後105日目(ロング施肥後100日目)の再生芽長と整枝乾物重の調査および再生芽(一心三葉)の全窒素分析を行った。
再生芽の芽長は秋整枝直前(2006年9月1日)に各試験区全株(100株)の最高樹高を計測した。整枝乾物重は整枝して刈り落とされた残渣を回収後,分画・乾燥し乾物重を計測した。全窒素分析はケルダール法で分析した。一,二番茶期に枠摘み(20×20cm,1区6ヶ所)による新芽の生育調査を試験の中間年である2008年に,また毎年,生葉収量調査を行った。
さらに新芽は乾燥後,全窒素,遊離アミノ酸,テアニン,粗繊維,タンニン,カフェインを近赤外分光光度計で測定した。うね間及び樹冠下土壌(深さ0~10cm)を二番茶摘採後(2007年7月1日)に採取し分析した。
掛川市大野の農家ほ場で実施した。単条16年生の’やぶきた’成木園であり,土壌は褐色森林土(黒褐色)観音下2統で土性はCLである。中切り更新は一番茶摘採後の2006年5月13日に行った。
試験区の構成は,表2に示したとおり,樹冠上施肥とうね間施肥を組み合わせで合計4区を設けた。
試験区の規模は1区36㎡,2反復で,2006~2009年の4年間実施した。

樹冠上施肥には試験1と同じ肥料を使用し,中切り更新後の2006年5月17日に窒素として28kg/10a施用した。ロング以外の肥料は農家慣行に準じた施肥時期に試験区の構成どおりの施肥量を施用した。施肥後の混和は試験1)と同様,うね間のみ行った。
調査は試験1と同様,ー,二番茶期に枠摘みによる新芽の生育調査,生葉収量調査および新芽成分分析を行った。また,樹冠上施肥したロングの溶出調査を行った。溶出調査は試験ほ場樹冠下からロングを毎年回収し,残存窒素量と初期窒素量から溶出率を算出した。
中切り更新後の樹冠上ロング施肥に伴う経済的効果を試算した。荒茶量は生葉収量に一番茶は0.23,二番茶は0.25を乗じて求めた。荒茶価格は生葉の茶工場での加工後の販売価格を利用した(2007年一番茶2,960円/kg,二番茶1,011円,2008年一番茶2,459円/kg,二番茶915円, 2009年一番茶3,160円/kg,二番茶840円)。慣行施肥の肥料代金は69,700円/10a/年,ロングの肥料代金は50,900円/現物175kg(2,900円/10kg),樹冠上施肥作業賃金は3,500円/1回/10aで試算した。
表3に更新後105日目の再生芽の生育状況を示した。再生芽長は樹冠上施肥区55.6cm>うね間施肥区52.1cm,整枝乾物重は74kg/10a>66kg/10aと樹冠上施肥区の生育がうね間施肥区に比べ有意に良好であった。また再生芽のT-N含有率でも樹冠上施肥区が高かった。

ロングの窒素成分の想定溶出率は,100日目までは27%と予測された。保科10)は,ポット4年生樹の台切り更新直後に樹の周りに施肥した場合,施肥後50日目には吸収された窒素の50%が新梢に移行することを報告している。これらのことから,樹冠上施肥による養分吸収がうね間施肥に比べ多く,その結果が再生芽の生育量の差につながったものと考えられる。
表4に新芽の生育調査結果を示した。中切り更新から2年目を迎える2008年の一番茶新芽は,樹冠上施肥区が摘芽長,百芽重でうね間施肥区を有意に上回った。
二番茶新芽では摘芽長で樹冠上施肥区がうね間施肥区を上回ったが,その他の項目では明確な違いはみられなかった。

表5に2008年の一,二番茶新芽の成分分析結果を示した。一番茶新芽では遊離アミノ酸含有量で樹冠上施肥区とうね間施肥区の間に有意な差が認められたが,全窒素,テアニンなどでは差が認められなかった。
二番茶新芽では試験区間に成分含有量の差が認められなかった。これはうね間施肥区に比べ樹冠上施肥区の新芽生育が概して良好であり,生育に伴う成分の含有量低下に起因するものと考えられる。

表6に生葉収量調査の結果を示した。一番茶では2007年,2008年に樹冠上施肥区とうね間施肥区で有意な差が認められた。二番茶においては2007年のみ差が認められた。
3年間を通じた生葉収量は樹冠上施肥区がうね間施肥区よりも一番茶で平均35kg/10a,二番茶でも平均23kg多く,樹冠上施肥区がうね間施肥区に対して収量の面からも効果が認められた。しかし,その効果は年を経るごとに減少の傾向が
認められ,特に二番茶で顕著であった。

樹冠下への施肥効果について,寿江島ら6)は15N標識窒素硫安を施用した試験で,うね間施肥に比べー~三番茶新芽の乾物重が1.4倍増加することを報告している。
寿江島ら6)は樹冠下施肥が慣行区に比較して被覆肥料,化成肥料ともに全茶期を通じて生葉収量が多いことを報告している。
今回の試験でも,樹冠下への施肥がうね間への施肥に比べ生葉収量が増加するという同様な結果が得られた。
表7に生葉収量,全窒素含有量から試算した一,二番茶によるN吸収量を示した。一番茶のN吸収量は,生葉収量,全窒素含有量を反映し,樹冠上施肥区がうね間施肥区に比べ試験期間を通じ多かった。二番茶においても同様な傾向であったが,その差は一番茶ほどではなかった。このようにN吸収の面からも中切り更新後の樹冠上施肥がうね間施肥に比べ効果が認められた。

烏山3)は15N標識被覆尿素を施用した試験で,樹冠下への施肥がうね間表層施肥に比べ1.9倍吸収することを,また野中ら11)は施肥幅(うね間中央から株元ヘ40cm)を拡大して施肥を行うことにより,うね間慣行施肥に比べ窒素の利用率を33~38%向上することなど,いずれも樹冠下の根からのN吸収増に伴う肥料の利用率向上を報告している。今回の試験でも,樹冠上施肥区がうね間施肥区よりもー,二番茶新芽の生育が良好で,生葉収量が多く,それに伴うN吸収が多くなる傾向が認められるなど同様な結果が得られた。
表8にロング施肥l年後の土壌分析結果を示した。
うね間土壌のECはうね間施肥区が樹冠上施肥区に比べ0.1mS/cm程度高く,風乾土100g当たり無機態窒素で5mg,りん酸,カリ共に10mg濃度が高かった。
一方,樹冠下土壌では無機態窒素,りん酸,カリともに明確な濃度の違いは認められなかった。これは樹冠上施肥はうね間施肥に比べ施肥幅が5~6倍広いために,うね間施肥に比べ面積当たりの施肥量が少なく,かつ順次溶出した肥料がすでに樹冠下に分布する根に一部吸収されたためと考えられる。

表9に2008年の一,二番茶新芽の生育調査結果を示した。2008年の一番茶新芽は,新芽重,新芽数,摘芽長,出開き度でⅠ区,Ⅱ区が慣行区を有意に上回った。Ⅲ区はほとんどの項目が慣行区と同等で有意な差は認められなかった。
二番茶も一番茶同様,新芽重,新芽数,摘芽長でⅠ区,Ⅱ区が慣行区を有意に上回った。
Ⅲ区はほとんどの項目が慣行区と同等であった。新芽の生育状況はー,二番茶ともに概ねN施肥量が多いⅠ区が最も良好であり,次にⅡ区となり,施肥量が最も少ないⅢ区は慣行区と同等であった。

表10に2008年の一,二番茶新芽の成分分析結果を示した。一番茶ではⅠ,Ⅱ,Ⅲ区の全窒素含有率で,またⅠ区の遊離アミノ酸含有率で慣行区と有意な差が認められた。
一方,二番茶ではすべての成分で有意な差が認められなかった。

表11に生葉の収量調査結果を示した。Ⅰ区の一番茶は3年間を通じ慣行区よりも有意に多く,平均45kg/10a(108%)の増収であった。二番茶でも2007,2008年では有意な差が認められ,3年間を通じ平均42kg/10a(107%)の増収であり,樹冠上施肥と窒素量の上乗せ(3年間でN28kg/10a)の両面の効果が認められた。
Ⅱ区でも一番茶は2007年で慣行区に対して有意な差が認められ,3年間平均で33kg/10a(106%)の増収であった。二番茶でも平均24kg/10a(104%)の増収となり,樹冠上施肥の効果が現われたと考えられた。
Ⅲ区は3年間を通じ慣行区とほぼ同等であったが,二番茶は後半若干少なくなる傾向がみられた。

茶樹は年間を通して吸収した窒素が貯蔵,再分配され一番茶新芽の形成に用いられる。一方,二番茶新芽の生育は摘採当年に施肥された窒素の吸収に依存する割合が大きい。
二番茶の生葉収量が少なくなる原因は,ロングからの溶出量が少ないため,吸収量も少なくなることが考えられる。
また,一,二番茶ともに,樹冠上施肥の効果は施用翌年が最大であり,その後減少の傾向が認められた。
図1に樹冠上施肥したロングの溶出状況を示した。窒素成分の予測溶出率は1年目56%,2年目30%,3年目10%であった。一方,試験ほ場での実測溶出率は1年目49%,2年目22 %,3年目16%と予測値よりも低く推移した。

この,試験ほ場でのN溶出率が予測値よりも低い原因としては,①気象庁静岡市の地温を利用したこと,②施肥位置が樹冠下に堆積した有機物層中であるため,土中に比べた土との接触面が少ないことなどが考えられる。
また,今回の試験では中切り更新から次の中切りまでの期間(概ね4年間)に毎年定量肥料成分が溶出することを期待し,溶出期間が長い360日タイプを供試した。しかし,溶出状況の経過をみると期待に反しN溶出量は1年目は14kg/10a,2年目6kg,3年目4kgとなり,2年間で大半のNが溶出した。
表12に樹冠上施肥に伴う荒茶の売り上げ高と経済的効果の試算を示した。各試験区の3年間の一,二番茶の10a当り荒茶売上高は,慣行区に比べ,Ⅰ区が114,684円増,Ⅱ区が82,231円増となったが,Ⅲ区では17,771円と増加額は小さかった。ー,二番茶の増加額は各試験区とも一番茶が70 %以上を占めていた。
さらに,肥料代・散布賃金を差し引くと,慣行区に比べⅠ区が60,284円増,Ⅱ区が54,931円増となり,Ⅲ区では33,071円増であった。

このように,中切り更新園に樹冠上施肥を行った場合,樹冠上無施肥に比べ高い経済的効果が認められた。その中で最も高い経済的効果が得られたのがⅠ区であるが,年平均の窒素施肥量が慣行区よりも多いことを考慮すると,この経済的効果は樹冠上施肥と多肥の相乗的効果であると考えられる。
一方,Ⅱ区とⅢ区は,窒素施肥量がそれぞれ慣行区と同量および2割減であるにもかかわらず同等以上の経済的効果が得られ,樹冠上施肥の有効性を示すものと考えられる。
これらのことから,中切り更新園の樹冠上施肥とうね間施肥を組み合わせる施肥管理は,施肥窒素の利用率向上をもたらし,将来静岡県の茶園の施肥基準が現在のN54kg/10aからN40kgに削減された場合でも対応可能なひとつの技術であると考えられる。
今後の課題としては,更なる施肥窒素の利用率向上のため,樹冠下へ年間を通じた肥料の安定供給が必要である。それには,溶出期間が長い被覆肥料(例えばハイコントロール650-700)の検討や1年間で溶出が完了する被覆肥料を毎年樹冠上に施肥する方法の検討が必要である。また,樹冠上施肥の普及のためには施肥の機械化の検討も必要である。
施肥窒素の利用率向上と施肥量削減を目的に,チャ中切り更新後の被覆肥料の樹冠上施肥効果および樹冠上施肥とうね間施肥を組み合わせ施肥法について検討した。
(1)更新三ヵ月後の再生芽長,整枝乾物重は樹冠上施肥がうね間施肥より良好であった。
(2)一番茶新芽では摘芽長,百芽重で,二番茶新芽では摘芽長で,樹冠上施肥とうね間施肥の間に有意な差が認められた。
(3)生葉収量は,樹冠上施肥がうね間施肥に対して一番茶では2007,2008年に,二番茶では2007年に有意な差が認められた。
(4)Nの吸収量は,一番茶では樹冠上施肥が試験期間を通じ多いが,二番茶ではその差は小さかった。
(1)新芽の生育状況は,一,二番茶ともに樹冠上施肥したⅠ区,Ⅱ区で慣行区以上の生育が認められた。
(2)新芽中の成分分析で一番茶では樹冠上施肥したⅠ,Ⅱ,Ⅲ区の全窒素含有率で有意な差が認められたが,二番茶では差は認められなかった。
(3)生葉収量は一,二番茶ともに概ねⅠ区>Ⅱ区>Ⅲ≧詮慣行区であり,樹冠上施肥でN施用量を慣行区より2割減肥しても同等以上の収量が得られた。
(4)樹冠上施肥した被覆肥料からの窒素成分の溶出は1年目は49%,2年目22%,3年目16%であった。
(5)中切り更新園の樹冠上施肥の経済的効果を見ると,3年間で慣行区よりもⅠ区で60,284円の増収,Ⅱ区で54,931円の増収となったが,Ⅲ区では33,071円の増収にとどまった。
1)青野英也 他:茶技研,56,10~29(1979)
2)小泉豊 他:昭和58年度原子炉の大学共同利用研究報告(1984)
3)鳥山光昭:九農研,58,81(1996)
4)辻正樹 他:茶研報,94,7~14(2002)
5)入来浩幸 他:茶研報,102(別),26~27(2006)
6)寿江島久美子 他:鹿児島県茶研報,13,12~55(1999)
7)志和将一:茶研報100,83~85(2005)
8)木下忠孝 他:茶研報,100,89~91(2005)
9)岩橋光育:農業と科学,11,10~14(2006)
10)保科次雄:野菜茶試研報,20,1~89(1885)
11)野中邦彦 他:茶研報,106,53~62(2008)