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§被覆硝酸石灰活用によるやまいもの生産性向上
青森県天間林村農業協同組合 指導課
営農指導員 上原子 和幸
§生命にとって塩とは何か
-生物と塩との関係史-2
京都大学名誉教授
近畿大学農学部教授
高橋 英一
§地被植物の植栽による畦畔雑草省力管理
広島県立農業技術センター 高冷地研究部
研究員 保科 亨
研究員 前田 光裕
青森県天間林村農業協同組合 指導課
営農指導員 上原子 和幸
青森県におけるやまのいも類といえば,真っ先に全国一の面積・生産量を誇る「ながいも」が挙げられるが,ここで取りあげるのは塊形種の「つくねいも」であり,さらにはつくねいものうちの“丹波やまのいも”の名称で知られているいものことである(以下やまのいも)。
青森県の系統共販面積は平成7年度実績で見ると,ながいもで約1,7000ha,やまのいもで約30haとなっており,当農協管内では,ながいもで60ha,やまのいもで8haである。
やまのいもの需要は高級菓子などの加工用が主であり,取扱業者も限られることから,全国の需要量も限界とされて,一頃前までは積極的な面積拡大は望めない状況にあった。しかし,主力産地の面積減少傾向に伴うここ2,3年の市場価格の高値安定と,ながいもに比べ深耕の必要がなく掘り取りが容易な作物であること等から,小面積であるが近年やや増加傾向にある。
今回,当農協新作物部会やまのいも研究会において,平成7年,8年の2ヶ年にわたって,施肥改善試験を実施した結果,被覆硝酸石灰(ロングショウカル70タイプ)の施用効果が確認されたので,その結果を紹介する。
当地域の栽培体系(図1)では2回追肥体系を採用しているが,1回目の7月中旬の追肥ではマルチを一旦剝ぐ必要があり,作業的にわずらわしい状況にあった。栽培農家から追肥の省力化体系を望む声が高まり,ロングタイプの緩効性肥料を活用した基肥重点型の施肥試験を実施することとなった。

また,土壌は八甲田山系の火山灰土で,pHが低くリン酸吸収係数が高いほ場が多いため,石灰質資材とリン酸質資材の施用による土壌改良が必須となっている。近年トマト等他の野菜において,石灰は十分施用しているにもかかわらず,石灰欠乏症状が発生している例がみられるが,これは低温やほ場の乾燥のほか石灰の難溶化等も要因ではないかといわれている。やまのいもにおいても形状の乱れは,細胞間の接着・強度や構造維持に関係するカルシウムの不足もあり得ると考えられたことから,ロングタイプ肥料のうちでも徐々に溶出するカルシウムを含んだ被覆硝酸石灰(ロングショウカル)を含めて試験を実施した。
なお,平成8年度はマルチとの関連性も含めて検討した。

※各区共通土壌改良資材施用量(/10a):完熟堆肥3t,苦土タンカル120kg,苦土重焼燐40kg,BMようりん100kg
※ASU化成はスターター肥料として設計に加えた。
※試験区は緩効性肥料で効率的な肥効となると思われたため,慣行区よりN総量をやや減じた。
①基肥散布:6/5,②植付:6/10,
③追肥:1回目-7/20,2回目-8/11,
④畦幅:116cm(2条植え)*株間40cm 10a当たり4,310株
①収量面では試験区2,3が上回り,品質面では試験区2で同等,他は慣行をやや下回った。
②経済性調査では,試験区2,3が上回り,特に試験区2が良かった。


前年の成績の良かった2設計に加え,新たに他町村で実施されている設計(試験区1)を加えた。さらにマルチ資材との組み合わせによる施用効果についても検討することとした。

※各区共通土壌改良資材施用量(/10a):完熟堆肥3t,苦土タンカル120kg,苦土重焼燐40kg,BMようりん100kg
①基肥散布:6/5,②植付:6/10,
③追肥:8/8,
④畦幅:118cm(2条植え)*株間35cm 10a当たり4,842株
①催芽時に高温にしてしまい,芽を焼いてしまった。その後芽がでたものの,収量は全体的にかなり劣り,200g以下の規格外品が多かった。
②収量面は,肥料別では「ASU+ロングショウカル70(追肥1回)区」が優った。マルチ別では「グリーン区」が優る傾向であったが,他の区と大差なかった。
③品質面は,A品率で見ると肥料別・マルチ別とも25~30%で,どの区も大差なかった。
④経済面は,肥料別では「ASU+ロングショウカル70(追把1回)区」が優った。マルチ別では,「透明区」,「グリーン区」が優った。
⑤肥料とマルチの組み合わせによる総合判断では,「ASU+ロングショウカル70(追肥1回」・「透明区」が最もよく,次いで「ASU+ロング100(追肥なし)区」・「グリーン区」であった。


①肥料別では,2年とも「ASU+ロングショウカル70(追肥1回)区」が優った。次いで「ASU+ロング100(追肥なし)区」であったが,全量基肥よりも追肥1回区の方が気象変動に対応でき,より安定的と思われる。
②マルチ別では本年は前半低温で経過したためか,半黒より透明,グリーンが比較的優っていた。近年は不順天候が頻発していることからみると,半黒より地温上昇効果のある透明,グリーンの方がより安定的と思われる。
③以上のことから,来年度以降の施肥設計等を一つにしぼるとすれば次のとおりである。
基肥:ASU化成 100kg/10a
ロングショウカル 50kg/10a
追肥:S646化成 30kg/10a
(8月上旬に1回)
マルチ:透明マルチ
2年とも被覆硝酸石灰(ロングショウカル)の区が収量品質とも結果は優っていた。追肥の省力化についても,従来の2回追肥より後半のマルチ除去の必要のない1回追肥がよいという結果となり,当初の目的は達成した。ロングショウカルのカルシウムの効果については,詳細な分析をしていないが,一般のロング肥料より結果的に優れていたことから効果があったものと考えられた。
(1)作物体のカルシウム分析による効果確認
(2)種子生産用肥培管理及び栽培体系の確立
京都大学名誉教授
近畿大学農学部教授
高橋 英一
ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,リンといえばミネラルの代表であるが,これらの中ナトリウムとカリウムの二つは,不溶性の塩をつくらないという特徴がある。そのため生物の体の中では他のミネラルのように,骨をつくったり,細胞壁と結びついたり,生体成分の中に組み込まれたりせず,水分に溶けて自由なイオンの形で存在している。そして浸透圧やpHを一定に保ち,体の中の環境を整える役割をしている。これは地味ではあるが,多細胞生物にとっては特に重要である。
われわれの体は多数の細胞からできているが,最初は受精した一個の卵細胞から出発している。体重ーキログラムは約一兆個の細胞に相当するので,三キログラムの新生児の体には三兆個の細胞がある。細胞は二分裂で増加するので,この数は約42回の分裂に相当し,それが生まれるまでの十か月の間に行われる。
一方一個だけの細胞からなる生物もいる。クロレラやケイ藻などの単細胞藻類,アメーバーやゾウリムシなどの原生動物である。この単細胞生物と多細胞主物の大きな違いの一つは,単細胞生物は水の中にしか住めないことである。もっとも微小な単細胞生物の場合は,血液の中や葉の上の水滴なども水環境になりうる。水環境は細胞が酸素と養分を取り込み,老廃物を捨てるのになくてはならぬ媒体(環境)である。同様に多細胞生物も内部の多数の細胞を養うために,体内に水環境をつくる必要がある。
われわれの体の60パーセントは水であるが,その4分の3は細胞内にあり,残りの4分の1は体液(細胞外液)として存在し,その中に細胞が浸かっている。これはいわばわれらの内なる海である。この海は体重60キログラムの大人で約9リットルあり,その3分の2は細胞間隙に存在し,3分の1は血管の中に入り体内を循環している。そしてその中のアンモニアなどの老廃物は,腎臓で沪過されて尿として体外に捨てられ,残りは再循環する。
この血管を流れる体液(血液)には赤血球があり,肺で酸素を受け取って組織細胞に運び,かわりに炭酸ガスを受け取って肺に運んで呼気の中に捨てている。この呼気,尿それから汗として一日に失う水分量は約2.5リットルで,これに相当する水分を食物や飲料水から補っている。また一日当たりの血液の循環量は約180リットルで,これは血液量の60倍,体内水分総量(36リットル)の5倍にのぼる。この血液循環のため心臓は一生休み無く働くが,それに費やされるエネルギーは莫大な量にのぼる。われわれは体の中の水分を何度も腎臓で浄化して使い,水分の消費を極力節約している。
一方植物はどうしているだろうか。分げつ最盛期のイネを例に取るとつぎのようである。10平方メートル当たりのイネの生体重45キログラム,水分80パーセントとすると,体内水分量は36リットルとなる(さきのヒトの場合と同じ)。根が吸収した水は導管を通って蒸散流となって地上部に運ばれ葉面から失われるが,その量は一日当たり約67.5リットルにのぼる。イネは一日に体内水分の二倍近い水を消費している計算になる。同じ生体重で比べると,イネの水消費量はヒトの36倍にのぼる。イネはヒトにくらべて水の浪費家であるが,このようなことが可能なのは土壌という大きな貯水槽をもっているからである。
血管が閉鎖系をなしているのに対して,導管は開放系である。血液と異なり導管液は循環せず,末端(葉脈端)から水蒸気あるいは水滴のかたちで体外にでる。根が吸収した養水分である導管液を葉まで送り届ける力は根圧と蒸散圧である。根圧は糖を消費して植物自らが作り出すが,蒸散圧は太陽の熱エネルギーを利用している。しかも蒸散圧は根圧よりはるかに大きい。植物は徹底的に太陽エネルギーを利用し,動物にくらべて随分と省エネルギー的であることがわかる。
植物が循環系をもたない理由としては二つ挙げることができる。一つは形態である。動物の体が三次元的であるのに対し,植物の主要部分(葉)は二次元的(シート状)である。したがって比表面積(外部環境との接触面積)が大きく,養水分の輸送やガス交換の距離は非常に短いので,拡散だけですむ。
今一つは排泄の仕方である。無機栄養を営む植物は動物にくらべて排泄の必要性はもともと少ないが,細胞内部に動物にはない液胞をもっており,ここに代謝廃物を一時的に排泄する。これは液胞液の浸透圧を高め,吸水を促進して細胞壁に膨圧をおよぼし,細胞に張りをもたせる役割をしている。植物は細胞内排泄を行なうとともに,その排泄物を吸水に役立てている。そして最終的には落葉によって,葉とともに捨て去る。これは植物体が葉と根と両者をつなぐ維管束(導管と師管)の三つからなるユニットの集合体であるため可能なのである。
植物は動物のように内なる海をたたえていない。植物にあるのは内なる川の流れである。このような違いがナトリウムに対する要求性に反映している。
生物体内の水分は細胞内液と細胞外液に分けられる。細胞内液は細胞内に存在する水分で,ヒトの場合体重の約45パーセントを,細胞外液は細胞間隙を満たす液,血管内の血液で約15パーセントを占めている(合計で60パ一セント)。植物では細胞壁や細胞間隙をみたす液,導管液の他に液胞液が細胞外液にあたる。体内水分にはナトリウムとカリウムが溶けているが,その濃度は内液と外液で著しく異なり,また互いに反対の分布をしている。
例えば,体重60キログラムのヒトの体には約80グラムのナトリウムと約120グラムのカリウムが含まれているが,ナトリウムは98パーセントが細胞外液に,カリウムは逆に98パーセントが細胞内液に存在している。表3に赤血球細胞と血液の液体部分である血漿のナトリウムとカリウム濃度を示した。赤血球細胞中のナトリウム濃度(細胞内液に相当)は血漿(細胞外液に相当)の13分の1に過ぎないのに対して,カリウムでは20倍以上になっている。

細胞膜を介して,細胞の内外でこのような対照的な勾配を生じる原因は,細胞膜上にナトリウムを外へ汲みだし,カリウムを内へ汲み入れるポンプがあるためである。このポンプの働きによって,生物の細胞内部は低ナトリウム高カリウムに保たれている。塩生植物の中にはカリウムの数倍にのぼる多量のナトリウムを含むものがあるが,その細胞内の液胞膜上にはこのポンプがあり,ナトリウムを液胞内に汲みだして隔離し,細胞質を低ナトリウムに保っている。
生物はナトリウムとカリウムを細胞の内と外で使い分けているが,そのはじまりは海水中の単細胞生物にある。かれらは高ナトリウム低カリウムという外部環境(海水)に対して,低ナトリウム高カリウムという内部環境を細胞の中につくったが,それは多細胞生物にも受け継がれ,この細胞の内外に生じた濃度勾配を,養分の取り込みや刺激の伝達に利用するようになった。
広島県立農業技術センター 高冷地研究部
研究員 保科 亨
研究員 前田 光裕
広島県の中山間地域では棚田が大変多く,平成5年度の統計によると,耕地面積に占める畦畔面積の割合は8.61%で全国8位と非常に高い。圃場整備に伴う作業の効率化や機械の高性能化,農薬処理の省力化等により,耕起や移植,防除,収穫といった本田作業の省力化が進む一方,畦畔雑草の約9割が依然として刈払機によって除草されており,畦畔植生管理に関わる労働負担の割合は逆に高くなってきている。このことは,経営規模の拡大を進めるうえでも大きな障害となっている。
さらに現在,急傾斜地における基盤整備が進み,高さ10mを越すような巨大な法面を持つ畦畔が徐々に増え,畦畔面積率は逆に上昇する傾向にある。この場合,従来の刈払いによる植生管理はきわめて困難になると予想される。
そこで,草丈が低く生育が旺盛な地被植物(グラウンド・カバー・プランツ)を新たに植栽することにより,管理に支障を来す自然由来の雑草を抑制できないかとの発想から,従来の刈払い等の方法に比べ,極めて省力的な畦畔植生管理法を開発するための研究を平成6年度より開始した。ここでは,現在までの主な成果の概要と,今後の問題点について述べてみたい。
草種を選定するに当たって,①草丈が低く,概ね30cm以下であること,②宿根性で生長速度が速いこと,③夏の暑さや乾燥,冬の寒さや積雪に強いこと,④繁殖(育苗)が容易であること,⑤雑草化しないこと,⑥病害虫の発生源にならないこと,⑦花が美しいなど景観形成に優れること,などを評価基準とした。平成6年度の試験結果や他場所での事例などから,有望な草種としてアークトテカ,マツバギク,シバザクラ,アジュガの4種を選定した。平成8年度からはさらに有望な草種を探索するため,約50種類について検討を行っている。
当高冷地研究部(広島県山県郡大朝町,標高400m)水田転換畑において,平成8年4月18日に,1草種9株を30cmの正条で植付け,その後の生育状況について調査を行った。雑草は地被植物の生育に影響が出ないように適宜手取りした。10月までの調査で夏季の被度が80%以上の草種は,アークトテカ,コウリンタンポポ,ローマン・カモミール,ウエデリア,シバザクラ類,マツバギク,ローズマリー(這性),バーベナ類,ヒペリカム・カリシナム,イモカタバミ,ビンカ・マジョール,ギンパイソウ,ヘビイチゴ,ポテンティラ,マンネングサ類であった(表1)。今後,越冬性,開花特性など適応性について継続調査をする予定である。

雑草による影響を避けるためには,基盤整備直後の雑草発生量の極めて少ない条件で,地被植物を導入することが望ましいと考えた。
そこで当高冷地研究部内に新たに造成した試験用畦畔において,アークトテカ,マツバギク,シバザクラ,アジュガの4種の地被植物を用い,1995年5月24日に30cmの正条で定植を行った。定植時に,肥効調節型肥料(被覆窒素入り肥料)を1ポット(Φ9cm)当たり窒素成分で1.5gとなるよう施用した。定植後,活着率,被度,草丈,開花状況を調査し,供試草種の生育特性について明らかにした。なお,試験用畦畔は1995年4月に,黒ボク土(心土)を用いて,長さ25m,高さ80cm,法面長120cmの規模で造成した。
定植後の活着率はマツバギク100%,アークトテカ96%,アジュガおよびシバザクラ74%であった。定植後から11月末までの生育は,アークトテカが生長速度が早く,約50日で被度100%に達した(図1,3)。マツバギクも次いで早く,約90日で被度95%に達した。シバザクラとアジュガは生長速度が遅く,定植後150日の被度は30%以下であった(図1)。


アークトテカとマツバギクの地上部は冬季に全て枯死した。越冬後, アークトテカは2月下旬より一部再生が見られ,5月下旬には被度50%まで回復し,7月中旬にほぼ100%の被度となった(図2)。

マツバギクは春季の再生が不良で枯死株が多発し,調査期間を通じて被度20%以下で推移した。シバザクラおよびアジュガは積雪下でも常緑のまま越冬し,4月から6月にかけての生育が旺盛で,7月以後シバザクラは70%,アジュガは40%程度の被度で推移した。
いずれの草種も試験期間中の最高草丈は25cm以下で農作業上問題とならない(表2)。開花特性は,シバザクラは期間が1ヶ月と短いものの,着花密度が極めて高かった。マツバギクも着花密度が高く,開花期間が長かった。アークトテカは開花期間は長いものの着花密度はやや低かった(表2)。繁殖方法はいずれもさし芽で,容易に多量の育苗が可能である。ただし,シバザクラは苗立率がやや劣り,育苗日数も長期間を要する。

以上の結果から,アークトテカは春から秋にかけての生育が非常に旺盛で地被能力が高く,雑草抑制効果が最も期待できる。冬季の低温や積雪により茎葉が傷みやすいものの,回復が非常に早く,畦畔の環境条件によっては連年維持することは可能と思われる。シバザクラとマツバギクは開花特性から景観形成面で非常に優れる。アジュガは,夏季高温乾燥時に生育が停滞しやすいため,乾燥しやすい畦畔法面での適用性は劣る。マツバギクは越冬後の回復が劣るため,寒冷地での適用性は低いと考えられた。シバザクラとアジュガは低温に強く,早春から初夏にかけて生育が最も盛んになることから,秋季または早春の定植について検討中である。
導入した地被植物を畦畔に定着させるためには,雑草の影響をできるだけ受けないように管理しなければならない。雑草は太陽の光を80~90%遮断されると,発生が極端に減少するといわれている。したがって,導入した地被植物が地面を被覆するまでの間,雑草の発生を抑えつつ,できるだけ地被植物の生育を促進するような条件をととのえてやることが極めて重要となる。そこで,地被植物の最適な定植時期の把握と畦畔での地力不足を補うための施肥法について検討した。
当研究部内の造成後20年以上経過した既存の畦畔において,アークトテカ,マツバギク,シバザクラ,アジュガの4草種を用い,1995年10月25日,1996年3月21日,4月20日,5月25日にそれぞれ栽培密度25株/㎡,1区1.5㎡で定植を行った。10月,3月,4月定植区は10月中旬に,5月定植区は5月上旬にそれぞれグリホサートイソプロピルアミン塩41%液剤を1000ml/10a散布し,雑草をあらかじめ防除しておいた。
定植後,地被植物の生育および雑草の発生状況について調査を行った。その結果を図4に示す。アークトテカ,マツバギクは3月定植が,アジュガは10月定植が,シバザクラは10月または3月定植が有効で,生育が最も良好でかつ雑草に対する抑制効果が高かった。

1995年10月下旬に溶出タイプの異なる緩効性肥料を量を変えて混合施用した培土を用いてアークトテカ,シバザクラ,マツバギクのさし芽育苗を行った。供試した緩効性肥料および培土1ℓ当りの窒素施用量は,ロング424およびスーパーロング424の180タイプが2,4gの2水準,ロング424の360タイプが2,4,8の3水準とし,比較として無施用区を設けた。当研究部内の水田転換畑において,1996年4月18日に苗を3株ずつ株間30cm,条間50cmで定植し,その後の生育状況を調査した。その結果を図5に示す。

シバザクラおよびマツバギクで施用による生育促進効果が顕著に認められたが,アークトテカは無施用でも生育が早く,効果はやや低かった。シバザクラの360タイプ8g施用区を除いて,いずれの肥料とも施用量が多いほど生育促進効果が高かった。肥料の種類による差はそれほど大きくなかった。
畦畔植生管理の省力化技術の開発は現場から強く求められており,本研究に期待する声は非常に大きい。平成8年10月24~25日の二日間にわたって京都府で開催されたグランドカバーフォーラムに,全国39道府県から延べ500名もの関係者が参加したことからも,全国的に極めて関心の高い分野であることが窺える。本県における研究もまだ緒に付いたばかりで,解決すべき問題点も非常に多い。現在,この問題について取り組んでいる研究機関はまだ数少ないが,今後研究に着手する機関は徐々に増えていくものと思われる。
しかし,対象が畦畔や地被植物であることから,現在取り組んでいる研究者の専門分野が作物,雑草,農業土木,園芸など多岐にわたっており,共通の情報交換の場がほとんどない。これからの研究の発展を考えると,連絡試験や研究会の定期的な開催など横の連携を図る必要性を強く感じる。
1)保科ら:日作中国支部研究集録,37,60-61(1996)
2)保科:グランドカバーフォーラム講演要旨集,京都府,39-42(1996)