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§高知県南国市におけるLP肥料の使用状況
高知県南国農業改良普及センター
改良普及員 田所 学
§紙資材を用いた野菜のマルチ栽培
石川県能登開発地営農センター
技師 東 勝男
§’96年本誌既刊総目次
高知県南国農業改良普及センター
改良普及員 田所 学
南国市は高知県の中央部・県都高知市の東に隣接し,高知市のベッドタウンとして人口が増加するとともに,工業団地の造成など都市化が進むなか,本県の穀倉地帯として古くから稲作の盛んな地域である。総面積は125km2で北部は急峻な四国山地,南部は太平洋に面した平坦部となっている。
南国市の水稲栽培面積は約1,900ha,うち約8割で早場米としてナツヒカリ・コシヒカリといった早生品種が栽培されている。早場米は4月初旬~中旬に移植され,7月下旬~8月中旬にかけて収穫されている。
南国市の早場米の栽培上の特徴として,移植期にあたる4月に低温に遭遇する可能性が高く,併せて春先の寒風が吹くなど植傷みによる初期生育の遅れが生じやすいことが挙げられる。(写真-1)

南国市における平年の最高・最低・平均気温及び平成5年~7年の平均気温と平年気温との差をそれぞれ図1,図2に示した。


過去3年間の気象状況は,平成5年が俗に言う「平成飢饉」となった年で,南国市においても大半が平年より低温であった。一方,平成6年は逆に大半が平年よりも高温となり,生育及び収穫時期が平年よりも一週間程度早くなっている。このように,ここ数年間は年によってかなり気象環境が変化している。
今回は,南国市で栽培されている主要早生品種「ナツヒカリ」及び「コシヒカリ」における平成5年~7年のLP肥料使用事例について紹介する。
平成5年~7年の「ナツヒカリ」及び「コシヒカリ」の耕種概要と収穫調査結果を表1に示した。

「ナツヒカリ」の栽培は一般に多肥栽培(総窒素成分9~10kg/10a)で行なわれる。「ナツヒカリ」は移植後約85日の6月末に出穂し,登熟期間の約30日を経て7月末から収穫が始まる。(図-3)このことから生育期間の短い「ナツヒカリ」では25℃での溶出期間が100日のLPコート入り複合444-D80号(以下LPDと略す)肥料が用いられている。

一方,「コシヒカリ」は移植後約95日後の7月上旬に出穂し,登熟期間の約35日を経て8月上旬から収穫が始まる。このため溶出期間が140日と長いLPコート入り複合444-E80号(以下LPEと略す)肥料が用いられている。
なお,南国市における緩効性肥料の普及面積は約300ha(平成7年)で,水稲栽培面積の約17.5%を占めるに至っている。
平成5年は低温のため窒素溶出が遅れ,コシヒカリを中心に減収となったところが一部で見られた。特に5月の分げつ最盛期と6月以降の登熟期の気温が低かったため,展示圃を設置した国府地区でもナツヒカリ・コシヒカリとも収量はこの三年間の中で最も減収となっている。
平成6年の特徴は,一部の緩効性肥料を用いた圃場でナツヒカリを中心に6月下旬から葉色が極端に落ちる圃場が南国市各地で見られた。これは高温という異常気象下のため,緩効性肥料の窒素溶出が通常よりも早くなり,肥料切れになったためと考えられる(なお,表1に示した国府地区における展示圃では,LPDの葉色は幼穂形成期で葉色板5.0~5.5と他肥料より濃い状態で生育しており,収量もこの三年間では最高となっていた)。

一方,コシヒカリでも平年より増収となったところが多かった。これは本来8月中旬の収穫時期以降まで続くLPEの溶出が,高温のため8月上旬の収穫前までに溶出し,登熟期間中に吸収されたためではないかと想像される。この結果は,増収になった反面,台風などによる倒伏の危険性が大きくなっていたといえる。
平成7年は,多少の寒暖はあったもののほぼ平年並みの気象条件であった。このため,窒素溶出もほぼ計画通りに現われ,平年並みの収量が得られている。
このように,ここ数年間は気象変化によって肥効に差がでたが,緩効性肥料による「元肥+穂肥」一発施肥の技術は労力軽減技術として農家の間で普及し,確実に拡大している。今後も,農家の高齢化,機械化,規模の拡大が進む中,緩効性肥料の需要は増加していくと思われる。
石川県能登開発地営農センター
技師 東 勝男
プラスチックフィルムで土壌表面を被覆するマルチ栽培は,野菜・花きの安定生産には欠かせない重要な技術である。
マルチ栽培の目的は生育促進である。すなわち地温調節,土壌物理性の保持,肥料の溶脱防止,雑草の抑制,土壌水分の蒸発抑制効果などが総合的に機能し,作物の生育を助長させることである。
しかし,使用後のマルチフィルムは回収が困難であるほか,焼却させると高温により焼却炉を傷めたり,土中へ埋めても分解しないなどの問題が指摘されている。
そこで,土壌への鋤き込みが可能な紙資材を用い,マルチ栽培を検討したので紹介する。
紙資材及びポリエチレンをマルチに用いることによって,いずれの区も花らい重の増加が認められた。(表1)

マルチの有無による収量・品質の差は判然としなかった。(表2)

初夏どりブロッコリーの収穫時における根群の生育についてみると,黒色ポリエチレンをマルチ処理した区の根は太く,無処理区の根は細かった。紙資材マルチ区は,その中間であった。(図1)

秋どりハクサイにおいて紙資材マルチによる減肥効果を検討した結果,ポリエチレンマルチ処理区と同様に総重及び球重の低下は認められなかった。(表3)

慣行施肥量に比べ約1/3施肥量を減らし,秋どりハクサイの紙資材マルチ栽培を検討した結果,球重はポリエチレン資材のマルチ処理区と同程度であり,無マルチより優れた。
また収穫後,使用したマルチを寒冷しゃの袋に入れ,土中に埋設した結果,ポリエチレンは変化が無かったが,紙資材は分解が認められた。(表4)

スイカを用い,7月下旬~8月上旬収穫の八本整枝四果どり小型トンネル栽培では,うねの中央はポリエチレンマルチを用い慣行と同様とした。うねの両側を慣行区は有孔黒色ポリエチレンマルチ,紙資材マルチ区は市販されている「エコマルチ」を用いて比較した。
その結果,果重及び収穫率など収量に区間差は認められなかった。また,糖度などの品質にも差は認められなかった。

最近,澱粉混合型の生分解性プラスチックフィルムが販売された。またポリ乳酸を利用した資材なども近々,登場すると思われる。これらフィルムはコストの問題があるが,今後が期待される。
そして,紙資材マルチについては効用を理解し,利用方法を検討する必要がある。
<1月号>
§新しい農業への対応
チッソ旭肥料株式会社
副社長 和泉 明生
§夏秋なすも被覆肥料で全量基肥が可能に!
岐阜県農業総合研究センター
環境部 土壌環境科
主任技師 高橋 幸蔵
§ニラの施肥について
福島県園芸蚕糸課 特産加工係
係長 沼田 光夫
(前 福島県農業試験場野菜部)
<2月号>
§埼玉県における早植水稲・小麦後水稲の全量基肥法
埼玉県農業試験場 環境資源部
専門研究員 日高 伸
§水稲のナトリウム吸収から推定したカリウム施肥法
宮城県農業センター
土壌肥料部 公害科
科長 長谷川 栄一
<3月号>
§ナス栽培とスーパーロングについて
JA山梨経済事業連 営農対策課
課長 田中 寿雄
§パーティクルガンによるイネへの遺伝子導入法
石川県農業短期大学農業資源研究所
教授 島田 多喜子
<4・5月号>
§環境問題と農業
鳥取県21世紀むらづくり推進協議会
事務局長 上田 弘美
(元 鳥取県農業試験場長・農学博士)
§根深ネギの被覆肥料を利用した省力・減肥技術
新潟県園芸試験場 環境課
研究員 根津 潔
新潟県農林水産部 経営普及課
専門技術員 長井 隆
(前 新潟県園芸試験場 環境課)
新潟県農林水産部 園芸流通課
副参事 小野 長昭
(前 新潟県園芸試験場 野菜課)
<6月号>
§米の食味向上を目指した土壌管理のあり方
石川県農業総合研究センター
生産環境部
土壌環境科長 北田 敬宇
§土壌窒素発現量(乾土効果)の予測とその利用
宮城県農業センター 土壌肥料部
総括研究員 中鉢 富夫
<7月号>
§全量基肥施肥栽培によるコシヒカリのための生育診断基準
富山県農業技術センター
農業試験場
研究員 稲原 誠
§ユリ(オリエンタル・ハイブリッド,アジアテック・ハイブリッド)に激発する葉焼け障害について
新潟大学農学部
教授 五十嵐 太郎
<8月号>
§転換期の花卉産業
-台湾の現状からみた日本-
奈良県農業試験場
栽培課長 長村 智司
§イチゴ新品種「栃木15号(仮称)」の養分吸収特性と全量基肥施肥
栃木県農業試験場 土壌肥料部
主任研究員 佐藤 文政
<9月号>
§生態系農業体系下で最大の作物生産を得るための基礎的研究
-作物の根系研究を中心として-
金沢大学教育学部
助教授 鯨 幸夫
§イネの育種における葯培養
石川県農業総合研究センター
育種栽培部
農業研究専門員 小牧 正子
石川県農業短期大学農業資源研究所
所長・教授 島田多喜子
<10月号>
§みのる式タマネギ苗移殖機を前提としたタマネギ成型ポットベンチ育苗における培土の種類と施肥量
佐賀県上場営農センター
畑作・経営研究室
技師 中山 敏文
技師 甲斐田 健史*
(*現 佐賀県農業試験研究センタ一白石分場)
§セル成型苗の根の呼吸活性と定植後の発根力との関係
石川県農業総合研究センター
砂丘地農業試験場
主任技師 福岡 信之
<11月号>
§エダマメ生育障害に対する被覆硝酸石灰の施用効果
岐阜県農業総合研究センター
環境部 土壌環境科
専門研究員 矢野 秀治
§コーティング肥料による2作1回施肥
(前作ソラマメ,後作ブロッコリー)
秋田県農業試験場 園芸畑作部
専門研究員 田口 多喜子
<12月号>
§高知県南国市におけるLP肥料の使用状況
高知県南国農業改良普及センター
改良普及員 田所 学
§紙資材を用いた野菜のマルチ栽培
石川県能登開発地営農センター
技師 東 勝男
§’96年本誌既刊総目次