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§今後の農業生産振興と担い手について
(「地域農業の展開方向等に関する調査」結果より)
農林水産省大臣官房調査課
調査専門官 藤村 博志
§特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律について
農林水産省構造改善局農政部就業改善課
課長補佐 佐藤 速水
§「農業と科学」9月号記事解説
農林水産省大臣官房調査課
調査専門官 藤村 博志
最近の我が国の農業・農村では,全体としては,農業後継者の減少,高齢化や混住化の一層の進行等の状況がみられますが,地域の特色を活かし,消費者や実需者のニーズに対応した農業生産とそれを支える多様な農業の担い手の動きも現れています。
地域におけるこのような農業の実情や今後の展開方向について,市町村担当者の意見を聞き,農政の推進のための基礎資料とするため,当課では,全国の市町村(3,245)の農政・企画担当者を対象に,アンケート調査を実施しました(平成4年10月,回答率80%)。
ここでは,特に,今後の農業生産振興と担い手に関する分析結果を中心に紹介します。
なお,本調査においては,農業地域類型の中間農業地域及び山間農業地域を併せて「中山間地域」と総称しています。
まず,自らの地域の全体的な活力が10年前に比べて,「上昇」しているとみている市町村は全国で5割近くみられますが,一方,25%の市町村で「低下」しているとみています。特に中山間地域においては,中間農業地域の30%,山間農業地域の45%の市町村で「低下」しているとみており,中山間地域における活力低下の深刻さがうかがわれます。
また,関東・東山(東山には長野,山梨県を含む。)や東海等では,活力が「上昇」しているとみている市町村が5~6割に達する一方,中国,四国では4割強の市町村が「低下」しているとみるなど地域により対照的な姿となっています(図1)。

最近10年間に,農家数が全国平均(約18%減少)以上に減少した市町村は3割弱あり,特に北海道,九州では約4割と高い減少率を示しています。また,7割の市町村では規模拡大が全国平均(農家1戸当たり経営耕地面積が約13%拡大)を下回り,特に,中国,四国ではその割合が8割を超えています。
さらに,農業生産の組織化をみると全国平均(農業生産組織に参加している農家の割合は,1割程度で横ばい)を上回って進展している市町村は1割程度にすぎず,四国,近畿,中国等で特に立ち遅れが目立っています。なお,農業地域類型別にみると,都市的地域,山間農業地域では,いずれの指標とも全国平均に比べて低位にあり,農業生産構造のぜい弱化の進行がうかがわれます(図2)。

「特に重要な農業の振興方策」については,「ブランド,産地の確立」をあげる市町村が52%と最も多く,次いで「地域の条件や資源などを活かした特色のある農業生産の推進」「過剰投資の抑制や資材の節減」,「規模拡大等による一層のコスト引下げ」がそれぞれ40%程度となっています(図3)。

これを農業地域類型別にみると,平場の農業地域(平地農業地域)では,「規模拡大」,「過剰投資の抑制」が他地域に比べ重視されています。一方,山間農業地域では,「特色のある農業生産」を特に重要とする市町村が55%と他地域に比べて最も高く,また,そのために活かすべき「地域の条件,資源」として,「自然環境や景観」(58%)「温暖,冷涼などの気象条件」(48%)といった豊かな自然に加え,「婦人や高齢者などの労働力」(32%)に対する期待が高くなっています(図4)。

農業振興に当たっての問題点として,全体の約8割(複数回答)の市町村が「後継者の不足など農業労働力の高齢化」をあげており,農業労働力の高齢化が全国的に深刻化している状況がみられます。次いで「若年者の他産業就職,高齢者のリタイアなど農業労働力の減少」が44%,「土地が狭小であること等から経営規模が零細」が22%となっています。
これを農業地域類型別にみると,地域の条件を反映し,都市的地域においては,「都市化や非農家等との混住化の進行」が,また,山間農業地域においては,「土地が狭小であること等から経営規模が零細」,「市場へのアクセスが不便」を問題とする割合が相対的に高くなっています(図5)。

担い手の労働時間の現状をみると,市町村内の専業的農業者の年間労働時間が,他産業従事者よりも「長い」とみている市町村は60%を占め,「短い」とする回答(14%)を大幅に上回っています。その理由としては,「長時間働かないと他産業並みの所得を得られない」,「収穫・調製,搾乳に時間がかかる」等が多く,農業労働のきびしさの一面がうかがわれます。また,経営部門別には,野菜作や酪農・肉用牛において「長い」とする割合が高くなっています(図6)。

「今後の農業生産の担い手の見通し」に対する市町村の考えは,担い手の形態によってバラツキがみられますが,総じて「受託組織など農業サービス事業体が作業受委託を通じ大きな役割を果たす」(57%)や,「市町村公社や農協の取組が重要となる」(73%)の割合が高くなっており,農作業受委託や,市町村公社等による農地管理などに対する期待の高さが表れています。
農業地域類型別にみると,「市町村公社や農協」,「農業サービス事業体」については地域間の差が小さいものの,「大規模経営」,「協業経営」は,平地農業地域で高く,「小規模農家等」は,都市的地域や中山間地域で高くなっています(図7)。

「今後,若い農業労働力(農家の後継者や他産業からの新規参入者など)を確保するために重要と考えられる」事項として,「他産業従事者と均衡する水準の所得の確保」(64%),「農業所得の安定化」(45%)といった経済面の対策を重要とする市町村が多く,次いで「農業のイメージアップ」(29%)の順となっています(複数回答)。特に,中山間地域では「農業所得の安定化」,「農村の生活環境の整備」を重視する割合が高いという特色もみられます(図8)。

以上のように,地域農政に直接携わる市町村の農政・企画担当者は,中山間地域を中心とする活力の低下や農業労働力の高齢化など地域農業が抱える多くの問題点を指摘しています。また,今後の振興方策については,地域条件の活用やブランドの確立を重視し,担い手確保に当たっては,他産業従事者並みの所得の確保,農業所得の安定化などが重要であると,考えていることが把握できました。また,地域により抱える課題や期待される担い手に多様性があることも明らかになりました。
要約すると,今後は,これまで以上に地域条件を活かした農業の展開や地域に応じた多様な担い手の育成を進めていくことが重要となっています。
農林水産省構造改善局農政部就業改善課
課長補佐 佐藤 速水
いわゆる中山間地域は,耕地面積,農業従事者数及び農業粗生産額においてそれぞれ全国の約4割を占めるなど我が国農業生産において大きな地位を占めるとともに,地域における農林業の生産活動を通じて,国土や環境の保全等の多様な役割を果たしているところであるが,他方,これらの地域においては,地勢等の地理的条件が悪く,一般に農業の生産条件が不利であることに加え,近年,農林業の担い手の減少・高齢化の進行が著しいことから,農林業の生産活動が停滞し,これに伴い耕作放棄地等が増大しつつある。
さらに,魅力ある就業・所得確保の機会が乏しいこともあって,農林業のみならず地域社会全体の活力が低下しつつあり,このまま推移すれば,中山間地域の果たすべき役割に重大な支障を生ずることが懸念されている。
このような状況の下で,昨年6月に「新しい食料・農業・農村政策の方向」が公表されるとともに,本年1月農政審議会において「今後の中山間地域対策の方向」が取りまとめられたところである。
これらの中で示されたように,中山間地域においては,各地域の諸条件に応じて,その創意工夫を生かしつつ,農林業の活性化を図るとともに,農林地の効率的かつ総合的な利用,他産業の導入等を行うことにより,地域における就業・所得機会の増大を図ることが急務となっている。
以上のような観点から,関係省庁が連携して,中山間地域について,農林業を中心としてその他の事業を含めた活性化のための基盤の整備を促進するための措置を講ずることとし,本年3月国会に提出し,去る6月8日成立,9月28日施行したところである。
次に,本法の概要について述べることとする。
本法の対象地域(特定農山村地域)は,地勢等の地理的条件が悪く,農業の生産条件が不利な地域であり,かつ,農林業が重要な事業である地域として,その要件については,政令で定められている。なお,対象市町村数は,1,730市町村である。
また,特定農山村地域については,主務大臣がこれを公示することとしている。(第2条第4項)
特定農山村地域の市町村は,地域の特性を生かして,農林業等活性化基盤整備計画を作成することができることとしている。
計画事項は次のとおりであるが,このうち,②については都道府県知事の承認を要するものとしている。
①農林業その他の活性化の目標
②農林業等活性化基盤整備促進事業の実施に関する事項
③②に関連した農林業生産の基盤の整備・開発及び産業の振興を図るための公共施設の整備に関する事項
④その他主務省令で定める事項
なお,②の「農林業等活性化基盤整備促進事業」とは,具体的には市町村が行う次に掲げる事業をいうものとされている。(第2条第3項)
ア 次に掲げる農林業その他の事業の活性化を図るための措置の実施を促進する事業
a 新規の作物の導入その他生産方式の改善による農業経営の改善(食用きのこその他の林産物の生産を併せ行なうものを含む。)及び安定に関する措置
b 農用地及び森林の保全及び農林業上の利用の確保に関する措置
c 需要の開拓,新商品の開発その他地域特産物の生産及び販売に関する措置
d 都市住民の農林業の体験その他の都市等との地域間交流に関する措置
e その他地域における就業機会の増大に寄与する措置
イ アのa~eの措置の実施に必要な施設(農林業等活性化基盤施設)の整備を促進する事業
ウ 農林地所有権移転等促進事業(農林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用の確保及び農林業等活性化基盤施設の円滑な整備の促進を図るため,農林地等を対象として,所有権の移転等を促進する事業)
エ 農林業等を担うべき人材の育成・確保その他農林業その他の事業の活性化を促進するために必要な事業
このように,市町村の作成する基盤整備計画は,地域において,農林業を中心とした事業の振興を図るために市町村が行うソフト活動,これを支援するための施設整備と必要な土地の確保,権利移転の円滑化などが主たる内容となっているが,その性格は,地域での話合いを積み上げて,農林業を中心とした事業の振興を通じた地域の活性化を図っていくための基本となるものである。
したがって,ここに記載された内容は,既存の制度や事業,あるいは今後登場しうる新たな支援策の中で採り上げられることによって,その実行を図っていくことになる。
地域ぐるみでの新規作物の導入その他生産方式の改善による農業経営の改善・安定を促進するため,農業者の組織する団体がその構成員のために作成する農業経営改善安定計画についての市町村による認定制度を創設し,この認定を受けた計画の実施に対する国及び都道府県の資金の確保の努力規定が設けられている。
なお,本措置に関連した予算措置として,濃密な営農指導の下,認定を受けた計画を作成した団体やその構成員に対し,実際の収入が目標収入を一定以上下回った場合,その差額を限度(上限10アール(又は家畜一頭)当たり50万円)に,経営費を低利(平成5年6月4日現在4.0%)で融通する制度(中山間地域経営改善・安定資金融通促進事業)を創設したところである。
農林業等活性化基盤施設の設置に係る事業を行おうとする者の作成する事業計画についての市町村による認定制度を創設し,認定を受けた計画に従って設置した施設については,税制上の特例措置(特別償却等)が講じられることとされている。
所有権移転等促進計画は,農林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用の確保及び農林業等活性化基盤施設の円滑な整備の促進を図るため,農林地等を対象として,所有権の移転等を促進するための計画であり,その作成手続等は,次のとおり
The first is.
①基盤整備計画を作成した市町村は,3の認定を受けた団体若しくはその参加構成員又は4の認定を受けた者の申出があった場合において必要があるときその他農林地所有権移転等促進事業を行おうとするときは,農業委員会の決定を経て,所有権移転等促進計画を定めるものとする。
この計画の計画事項は次のとおりである。
ア 所有権の移転等を行う者及び受ける者の氏名,住所等
イ 対象となる土地の所在,地番,地目及び面積
ウ 所有権の移転等の後における土地の利用目的,移転の時期,対価等
②所有権移転等促進計画は,農地転用又は市街i 化調整区域内の開発行為に係る権利移動を含むときには,都道府県知事の承認を受けなければならないこととされており,この場合,その計画が農地転用に係るものを含むときには,都道府県知事はあらかじめ都道府県農業会議の意見を聴かなければならないこととされている。
③市町村は,所有権移転等促進計画を定めたときは,遅滞なくその旨を公告するものとし,当該公告時に所有権の移転等の受果が生ずることとされている。
また,当該計画に基づく所有権移転等については,登記の特例措置(嘱託登記),税制上の特例措置(譲渡所得の特別控除(800万円)等)を講ずることとしている。
地域における農用地の保全のため,一定の手続きを経て,森林組合は,委託をうけて農作業を行う事業を実施することができることとされている。
基盤整備計画で位置付けられた一定の林業用施設については,土地改良事業の実施に伴う共同減歩によりその用地を生み出せることとされている。
第3セクターによる一定の農林業等活性化基盤施設の整備に係る不均一課税に伴う減収補てん措置及び地方債の特例措置を講ずるこどとされている。
このほか,農業協同組合と森林組合の連携(第13条),国等の援助(第17条),農林業生産基盤の一体的な整備等の促進(第19条),国有林野の活用(第21条),生活環境の整備(第22条)に関する規定等が設けられている。
また,この法律における主務大臣は,国土庁長官,農林水産大臣,通商産業大臣,建設大臣及び自治大臣とされている(第23条)。
本法の施行により,山村振興法,過疎地域活性化特別措置法等の既存の地域振興立法と相まって,中山間地域の活性化が図られるようにしていきたいと考えている。

☆ 後継者難や労働力不足等のため、日本農業は大変厳しい状況下にあります。ある調査では米作や野菜栽培の農家の1/3が廃業や栽培面積の縮小、軽労働作業の作物への転作を考えていると報じております。さらに内外の価格差から低コスト化が強く望まれております。これらを背景として農林水産省は「夢ある農業の確立」を目指して、今回の新政策の方向づけをしております。
☆ 新政策では稲作経営の労働時間と生涯収入を他産業並※にすることを目標に、望ましい経営体像を提示しております。平成2年の383万農家を平成12年には250~300万農家に縮小、それらを個別経営体(個人または一世帯によって経営)と組織経営体(複数の個人または世帯によって経営)に集約し、農業の基幹的組織としております。
※他産業の現状の労働時間は2,000時間強で5年後の目標は1,800時間となっています。同様に現状の生涯収入は2.0~2.5億円程度と見込んでいます。
☆ これによって稲作の8割を生産し、そのコストは全農家平均の5~6割に低下させることができるとしております。無論、この新政策は政策展開の方向であってその具体的な内容、予算、対策などは今後の検討を待たねばなりません。しかし、新政策は他分野からの提案ではなく農業行政自鼻からの提示であり、今後その実現に本格的に取り組んで行くことになります。
☆ 新政策によって、今までの約400万農家への均質的、平等的ばらまき的行政から、中核農家等の強化と一部農家への助成の打ち切りなど選択的行政への転換を意味します。画期的な事と最近、新聞やテレビその他で大変話題になっています。今後この点において各界で大いに議論されることになりましょう。
☆ 高橋先生は37才、新潟農業試験場の少壮気鋭の研究者です。
☆ 大豆の収量を高めるためには、根粒にだけ依存するのではなく、積極的に肥料を活用すべきという考えが、最近支配的になって来ております。
☆ ただ、根粒の着生する根の付近に多量の肥料室素が存在すると根粒の活性が著しく阻害され、空気中からの効率的な窒素の固定・吸収が行われなくなります。
☆ そのため、施用する肥料として緩効性のLPが適しており、今まで東北農試や山形、福島などの県農試から成果が報告されております。
☆ 本試験ではLP100の下層基肥施肥とLP70の培土期表層追肥(山形県農業試験場で確立された施肥技術)の比較をしております。そして、粘度質転換畑では表層追肥よりも下層施肥の方が根粒の活性を抑えず、またLPの窒素利用率も約2倍の高さを示し、大豆への施肥法として有利であると評価されました。
☆ 窒素の利用率に注目してみますと慣行区は10%程度に対し、LP表層追肥区が30%、LP下層基肥施肥区が50~60%と非常に高い値を示しております。これは環境問題から重要なデータです。
☆ 窒素利用率は、当社から提供した15N-LPコート※によって測定されております。高価ですがこのようなデータを取る時に威力を発揮します。
※非放射性同位元素の尿素を使ったLPコートで昭光通商から1グラム2,000円と薬品並の価格で販売しております。別に本試験のように価値ありと判断した際には当社が無償で提供をしています。
☆ 近年茶園の施肥量が増加し、土壌環境の悪化が心配されているので、茶試では多肥問題解決のため「土壌埋設型センサーを利用した茶園の施肥管理実用化技術の確立」研究を行っています。
この研究では、ECセンサーを利用して土壌中の無機態窓紫の測定法、センサーの使用法、茶園における肥料成分の形態変化及び移動速度、健全な茶樹を育成するための土壌中の室索濃度等の解明を行っています。
土壌別にECセンサーの測定値から無機態窒素畳を推定する計算式を積立しています。
正確な無機態窒素を知るためには、土壌水分も把握する必要があるのでECセンサーと水分センサーの使い方を述べています。
肥料の無機化及び硝酸化成速度を土壌3種類、pH3段階、地温3段階、肥料8種類で検討した結果が記載されています。
ECセンサーによる施肥管理を行うために必要な生育周期に応じた土壌窒素量を明らかにしています。
ECセンサーによる施肥管理のために、各種センサーによる自動測定、測定値からの無機態窒素量の推定、生育周期に基づいた土壌窒素濃度を維持するための施肥時期及び施肥量の判断が可能なマイクロコンピューターを用いた施肥管理基本モデルを作成しています。
開発した施肥管理モデルを利用して、今年の春肥の施用にあたりコンピューターによる窒素の発生予測を行い、いつの時期にどの様な肥料をどの程度施用するかを判断していいます。そしてその結果を図5に示しています。
平成4年度は、開発した施肥管理実用化モデルに基づいた施肥による本技術の実証を行うと共に、本モデルの操作性の改良や低価格化などについても検討を行っていると述べています。
☆ かぶせ茶や玉露に比較して多量施肥の傾向にあるてん茶栽培における効率的な施肥方法を検討するため、ロングの施用試験を実施したので、それらの結果を紹介しています。
コンクリート製無底枠試験。試験区は、慣行、被覆、併用の3区にそれぞれ年間施肥量N46Kgと92Kgの2段階を設けています。被覆区は春肥、秋肥施用Nの100%をロングで施し、併用区は50%をロングで施用しています。また、春肥は、100日夕イプ、秋肥は、180日タイプを施用しています。(表1)
調査項目は、土壌中の無機態窒索、生育量、一番茶新芽の遊離アミノ酸含量です。
機械摘採によるてん茶栽培では、一番茶収畳を増やすことが重要なので、一番茶収量をみると90Kgレベルの方が45Kgレベルよりもやや優れており、45Kgレベルでは、慣行>被覆>併用、90Kgレベルでは、併用>慣行>被覆の順となりました。
一番茶新芽中のアミノ酸は、45Kgレベルより90Kgレベルで高い、45Kgレベルでは,被覆、90Kgレベルは、併用がアミノ酸含量が高く、テアニンやアスパラギン酸濃度が高かったと述べています。
土壌の深さ別、時期別のアンモニア態、硝酸態窒素を調べた結果が記載されています。
一番茶の遊離アミノ酸含量は、土壌のアンモニア態窒素と正の相関関係にあり、硝酸態窒素では、アンモニア態窒素程明瞭な関係は、認められなかった。
年間の全生育期間を通じて、生育に及ぼす硝酸態窒素の寄与を否定出来ないが、遊離アミノ酸含量を高めるには、特に一番茶期直前から一番茶期にかけてのアンモニア態窒素の影響が明瞭である。
これには、春先から4月にかけてロングの溶出特性と慣行資材の肥効特性が、土壌中のアンモニア態窒素維持に有効に作用していると考えられると述べています。
最後に今後、品質の向上や生産費の低減を含め、環境保全にも配慮した効率的施肥を行うためには、収量充足域でのロング肥料の利用が有効な手段のひとつであり、また硝酸態への変換を最小限に抑えて、アンモニア態窒素を安定維持することが有効であると考えられる。と結んでいます。