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環境に配慮したコーティング肥料の開発状況について

環境に配慮したコーティング肥料の開発状況について

2025.10.14

環境

ジェイカムアグリ株式会社は、肥料を中心とした農業資材の生産と販売を通じて、わが国の食を支える農業の持続的な発展に取り組んでいます。環境に配慮したコーティング肥料に関する、開発状況についてお知らせいたします。
コーティング肥料は、肥料粒の表面を樹脂(プラスチック)などで被覆(コーティング)することにより、水田や畑にて肥料成分の溶出量をコントロールできるよう開発された肥料です。初期の肥料溶出を抑制し肥効が長期間持続できることから、作物が必要とするタイミングに合わせた養分供給が可能です。
その結果、作物が効率的に肥料を吸収できるため、施肥量の削減とともに肥料成分の流亡や揮散による環境影響の低減が可能であり、環境に配慮した施肥に貢献してきました。

2022年1月に肥料関係団体が、2030年までにプラスチック被覆肥料に頼らない農業にすることを理想に掲げた取組方針(ロードマップ)を公表し、本方針に基づいて環境に配慮したコーティング肥料の開発を進めてきました。ジェイカムアグリが開発した減プラ対応コーティング肥料「J コート®」の開発状況について報告いたします。

また、生分解性樹脂を使用し自然環境で分解可能な被膜によるコーティング肥料について、一部の市販銘柄に匹敵する溶出抑制機能をもつ新たな開発品が得られたことを報告いたします。
引き続き減プラに対応した「J コート®」の普及や生分解性樹脂等によるコーティング肥料の開発は、JA 全農など関係機関の協力のもと進めて参ります。

1.プラスチック使用量を削減したコーティング肥料の開発状況について

被膜に含まれるプラスチック量を削減し、従来品(「LP コート®」、「エムコート®」)と同様の溶出抑制機能を有し、かつ従来品のプラスチック量の4割削減を実現した「J コート®」の開発に成功し、業界に先駆けて2024年より販売を開始しています。
従来品の被膜には、天然物質などとともに約 50%のプラスチックが含まれていますが(肥料1粒当たり約 5%)、「J コート®」は被膜に含まれるプラスチックを約 30%まで削減しました(肥料1粒当たり約3%)。

画像2

加えて、従来品より被膜殻が水面に浮上しにくいことから、水田からの流出を抑制できます。被膜殻の流出抑制効果につきましては公的試験研究機関でも確認されています。さらに流出防止策(浅水代かき、自然落水、水田流出口のネット設置など)を組み合わせることで、河川や海洋への流出を防ぐことができます。

現在、減プラに対応した「J コート®」の増産体制の構築を進めています。主要銘柄については 2025年度内に上記「J コート®」を配合した肥料の供給を開始しており、今後、従来品からの切替を進めていく予定です。

 

2.生分解性樹脂によるコーティング肥料の開発について

被膜に生分解性樹脂を利用し、肥料溶出後の被膜殻が自然環境で分解できるコーティング肥料の開発を進めています。このほど、実験室内ではありますが、一部の銘柄について従来品に匹敵する溶出抑制機能を有するコーティング肥料が開発できたことを報告いたします。

2023年12月にお知らせしましたリニア型の100タイプに続き、新たにシグモイド型の30タイプ相当品の開発に成功しました。

シグモイド型は、初期溶出を抑制する溶出パターンであり、施用後一定期間が過ぎると溶出開始し肥効を発揮します。溶出開始時期をコントロールすることで作物が必要とするタイミングに合わせた養分供給が可能になります。初期溶出を抑えるには完全被覆が必須であるなど高度な技術が必要です。

左:開発品の窒素溶出挙動(25℃水中)、右:開発品の外観

今後、研究(当社指定研究機関による埋込試験、栽培試験)を重ね、製造・供給体制の整備や溶出期間の長期化などの課題解決に取り組んで参ります。
当社は新しい可能性に挑戦し続けます。